「医師1人あたりの医療費の国際比較は?」についてのいくつかの疑問

| コメント(30) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

 la_causette の「医師1人あたりの医療費の国際比較は?」についてのいくつかの疑問を指摘してみます。

 日本の場合,GDPに占める医療費の割合を,国民1000人あたりの医師・歯科医の数で割った数値って,結構高いですよね。

 とのことですが、記事の元になっている統計資料の紹介または引用がありません。
 統計に基づいて意見を表明するなら、その統計資料を明示するべきだと思います。

2004年のデータで,「4」ですからね(スウェーデンが約2.7,フランスが約3.2,ドイツが約3.1,イギリスが約3.3です。)。

 紹介された数字の中では日本が最も高い数字ですが、日本より高い数字になる国はないのでしょうか?
 元となる資料の明示が必要になる所以です。

 日本の場合,医師一人あたりの概算医療費は概ね1億円を超えますから,医療系コメンテータさん達の不満はともかくとして,医師に対してはそれなりに医療費を支払っている社会だということが言えそうです。

 ここで言う「概算医療費」というのはどういうものを言うのでしょうか?
 私としては「医療費」と言うと、その中には、医師に対する報酬の他に薬代、検査料、検査機器の購入費、医師以外の人件費、病院維持費などなどいろいろ思い浮かびますが、小倉弁護士は、「医師に対してはそれなりに医療費を支払っている」と言って、医師に対する報酬の多寡だけを問題にしているように読めます。
 つまり、「医師に対してはそれなりに医療費を支払っている社会」というのは「医師がそれなりの報酬を得ている社会」と読めてしまいます。
 「それなり」というのはどういう意味でしょうか?
 
 2ちゃんねる(No.687)では冒頭引用部分に対して

国別処理件数で割ってごらん('A`)
日本は先進国中最下位のはず・・・

 という指摘がなされています。
 もっとも、この指摘も統計資料の引用がないのですが。
 
 そこで、統計資料に詳しい方に、もう少し補足説明をいただけると医療費の国際比較がより明確にわかるのではないかと思いますので、コメントを期待します。

 ところで、

 それは,医師出身の国会議員が,医師過剰論に基づき,再三にわたり医学部の定員の削減を政府に働きかけた成果とも言えそうです。

 これは何を言いたいんでしょうね?

追記(9/4 11:56)
 早速、小倉弁護士が追記を書かれました。
 例によって、書く必要のない余計な一言を書かずにはいられないようです。

 早速,京都弁護士会の矢部善朗弁護士がこのエントリーについてのエントリーを監視サイトにアップロードされたようです(日本のお医者様は悲劇のヒーロー・ヒロインということにしておかないと困る人たちがいるのでしょう。)

 しかし、この一文には、私の最後の疑問に対する答が含まれているようです。
 要するに、小倉先生は「(日本のお医者様は悲劇のヒーロー・ヒロインということにしておかないと困る人たちがいるのでしょう。) 」の逆のことが言いたいようです。

追記その2(9/4 12:32)

 小倉弁護士が[追記2]を書かれています。

 矢部弁護士のブログのコメント欄では,相変わらず曲解に基づく私への批判が渦巻いており,矢部弁護士はこれを黙認する状態が続いていますね。

 曲解だと言われるのであれば、小倉弁護士自ら、誰のどのコメントがどういう意味で曲解なのかを「一般の読者の読解力に合わせ」て批判した上で、反論されればいいと思います。
 このブログのコメント欄は誰に対しても、つまり小倉弁護士に対しても公開されています。
 
 小倉弁護士は、私が「黙認」しているといって非難しますが、小倉弁護士は、私(または小倉弁護士以外の誰か)のブログで、小倉弁護士を批判するコメントが書き込まれたら、ブログ管理者(このブログでは私)は、そのコメントを削除したり、小倉弁護士に代わって批判したり反論しなければならない、と主張されているようです。
 全くもって不思議な論理です。
 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.yabelab.net/mt4/mt-tb.cgi/236

コメント(30)

成果?・・・・・いくら考えても分からない言葉ですねェ。

へーえ、そうなんですか。医師数1人頭につきそれだけ働かされているんだ。一人当たり1億相当働かされるというのは並大抵のことではありませんね。日本の極めて低額な医療単価を考えると。(よく出される例が心電図一枚とると日本は1400円、アメリカ一万円以上らしいです。)

日本の医療費はガラス張りですよ。
緑本一冊に全部載ってますがな。

対して、外国のは不明瞭ですね。

http://intmed.exblog.jp/5066654/

ここがまとまっていますが、

人口あたりの医師数が少なくて、医師一人あたりの医療費が高いと言わないまでも低くなくて、単価が低いとすれば、結論は賢い中学生くらいなら正答にたどり着けるでしょう。

http://www.gamenews.ne.jp/archives/m/e/1000219oecd.html
ニホンジンハタラキモノ。

それからアメリカは(2007年)
医療費GDP比 13.9%
1000人あたりの医師数 アメリカ2.6人
との記載がありました(色々なブログで取り上げられています。元のニュースはリンク切れになってました。)。

法学部の初年級やロースクールの入学試験で、統計学を必須にしたらどうでしょうか。知識があれば、恥ずかしくてこんなこと書けないでしょう。

あのー、それはえらく曲解ですね。
医師あたりにかかるコストが高いのではなくて、一人の医師が平均的にそれだけ他の国よりも働かされてるってことです。それはたしかに国が医師数を抑えてきた結果かもしれませんが。。。
あなたの書き方だとまるで、医師が増えればさらにお金がかかるみたいに受けとれて非常に不愉快です。医療を受ける人の数は基本的には大きくは変わりません。仮に急に医師が2倍に増えてもかかる全体の医療費が2倍になるなんてことはありえません。
それでもなお多くの「まともな」医療を提供している病院が赤字の現状をどうお考えですか?
「医師に対して払ってる」「医師一人当たりにかかるコストが大きい」これらの表現は、はっきりいって不適当な表現であり、もう扇動といってもいいかもしれません。謝罪の上、撤回をお願いします。
って送ってみました。コメントかえってくるかな~?

えーっと、私、頭悪いんで、今いち分からないんですが、日本の医療費が30兆円、医師数が27万人だから医師一人当たり1億円の売り上げがあるっていうことですよね?
で、GDPにおける医療費の割合と、人口1000人当たりの医師数を計算すると医師一人当たりのGDP比医療費は結構高い、と。

医師数が十分少なければ、医療費が少なくてもこの数値は簡単に高くなるでしょうに、この統計処理になにか意味があるんですか?無理やり意味をくっつけたいだけ?

ところで、もちろん日本医療の診療単価は世界を見渡しても圧倒的に低いんですが、にもかかわらず医師一人当たりの診療報酬が高いのでしたら、日本の医師は他国に比べて圧倒的に労働量が多いというのは確かに中学生でもわかります。
医師一人当たり1億円を稼いでいるとしても、それがすべて収入にはなりませんよね。医師以外の人件費、薬剤・検査費用(これも利益率は非常に低い)、医療機器・器材などのコスト(これは国際的に非常に高い=収益率を下げる)、病院建物などの維持費用(土地代が高い=収益率を下げる)、病院評価などでの役人の接待費用などがすべて含まれます。そうなると、医師本人に渡される個人の収益は国際的に購買力平価で計算すると、確かあまり高くない。おまけに労働量は国際的に圧倒的に多い。そういう結論になりませんかねえ。

あくまで医者は「楽して儲けて悪いことをしてる」存在でなければならないんですね。

雑文・長文失礼いたします。

被医療者が日本の医療費を語るときに、公的医療保険制度(保険料や一部負担金)を念頭に語られることが多いように思います。
仮に(医療費=公的医療保険制度の財政問題)と限定して考えたときに、色々な話を聞いていると(医療費=医師個人の収入)と連想される方が意外に多いのかな?と感じます。
勿論そんな事はなくて、この場合は(医療費=医療機関の収入)であり、施設や器具の設置・維持管理費用・看護師様始めスタッフの方の人件費も全て含まれているため、決して(医療費=医師個人の収入)でない事は自明の筈なのですが、現状とても正確に認識されているとは思えない訳です。

そのような誤解がそれなりに存在するという素地がある事を考えると、今回のエントリの内容は暗黙のうちに(医療費=医師個人の収入)という誤解を助長させるものと思われ、かつ、医療業界を支持基盤とする国会議員が(医療費=既存の医師個人の収入)を増加させるために医師数の抑制策を推進してきたという認識を拡散させる方向に働く可能性について、強い危惧を感じます。
私は、過去・現在において医療系の議員各位や支持母体である医師会様が(医師数の抑制はもしかしたら医師会様の一部に消極的賛成の立場があったかも知れないと思うので、それは別として)少なくとも医療費の抑制は主導されていなかったと認識しておりますので。

小倉先生におかれましては、所謂「医療費亡国論」の起源がどこにあるのか?という点についてだけでも前提として確認していただければ宜しいのですが。
私は確固たる事実関係は存じませんので、当時の医師会様が「医療費亡国論」に強い反対姿勢を示されたかどうかについて確証は持てませんが、少なくとも積極的に率先して「医療費亡国論」を主張されたという事ではないと思っているのですが、、、違うのでしょうか?

 これも一種の印象操作でしょう。
 民間企業で営業リーマンが1人当たり1億円の売上と言われてもね~。リーマンの報酬に比例しないのは実業界にいればご存知のとおり。
 売上-経費=粗利益
 この粗利益から税金引かれて、会社の所得になるわけで、リーマンが丸儲けしているわけではないでしょう。
 100億の売上を従業員100人規模の会社が達成した(従業員1人当たりの売上が1億円w)ときのBSとP/Lを企業法務で見れば、答は簡単です。
 ちなみに、現在の日本企業の法人税務では、ザックリ言って、粗利や経常利益の約半分が、所得税と住民税で失われます(納税するから)。

労働分配率とか労働生産性を絡めた議論もありますが、彼には荷が重すぎるでしょう。

重いなら背負わなきゃ良いのに・・・。

 ちなみに患者一人当たりの医療費の方が意味はあると思います。確か、為替レートでなくて物価換算すると先進国中で最低(ゲホッゴホッ……

追記が出てます。
つまり、このエントリーの趣旨は
「オレは刑事を10年やってなく、きちんと仕事を選んでいるが、日本のイシャは応召義務を盾に、少人数で楽して儲けているのだろう。それが悲劇的か?」
ということでつか?

 弁護士1人当たりの法務事務費用(売上)は米国が最低だそうです。なんでも弁護士以外のパートタイムで生活している人が多いからだとか?
 このように統計の分母の選択に合理性がないと「おかしな統計結果」が出ます。
 ちなみに、一部の統計屋の世界で有名なジョークですが、中東の某国警察は世界一優秀になります。中東の某国の犯罪統計では、検挙率が常に100%だからです。これは犯人が検挙されて初めて統計上も客観的に犯罪と認定できるので(自然災害や虚偽被害申告でない)、検挙=認知なのだそうですが・・・。

>これも一種の印象操作でしょう。

 いや、そのものでしょう(^^)
 だから、そこを冷たく突っ込まれると感情反応になってしまうんでしょうね。
 「だから」以降は一般論ですが。

> 医師に対してはそれなりに医療費を支払っている社会だということが言えそうです。

 言えません。

以前モトケンさんが紹介されていた権丈先生のデータをご紹介。ちょっと古くなりましたが(^^)
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare48.pdf

 小倉弁護士は具体的なデータを見てすら納得出来ない方ですので、データなしで日本の医療費単価が安いと言っても分からないでしょう。

 まず、国際的医療費の比較ね。

まずこれは小倉氏が自分でデータを持っているから示す必要がないですが、対GDP比はG8最下位、OECDでも下から数えた方が早いです。

 次に医師数ですが人口1000対比ではG8最下位、OECDでも下から4番目です。

 で、小倉弁護士の理論では対GDP比でG8最下位、対人口比でG8最下位だから個々の医療機関に払われる金額はG8平均と大差ないだろうと言うことですね。
************************
ここまでが小倉理論の解説。

で、別なデータ
患者一人あたりの一人あたりの医療費(2003年OECD)
G8最下位です。OECD平均よりやや低く下から2/3程度です。
ただしロシアはデータ公表していませんので除外しています。

アメリカ6535ドル
カナダ 3001ドル
ドイツ 2996ドル、
フランス2903ドル
イタリア2258ドル
イギリス2231ドル
日  本2139ドル


国民一人あたりの受診回数(2003年 OECD)
 日本はダントツ首位です。

アメリカ 8.9回/年
カナダ  6.2回
ドイツ  データなし(2000年は7.3回)
フランス 6.9回
イタリア データなし(2000年は6.0回)
イギリス 5.2回
日本  14.1回

日本だけ桁外れに多いことが分かります。

病床100床あたりの医師数で見ても
日本はアメリカの1/5、ドイツの1/3です。

 つまり、患者1000人あたりで見れば日本は先進諸国の半分の以下の医師数で働き、外来患者数あたりで見れば2/3の報酬しかもらっていないと言うことになります。

以下、小倉弁護士へ
 まあ、妄想でいろいろ書くのはよろしいですがデータを出すというのはこういう事です。

 

もうほとんど○×△の自爆

単価については緑本を購入しなくても、医療事務の解説サイトがいくらでもあります。

http://shirobon.net/

英国のNHSの価格表はどこかすぐには見つかりませんでしたが、こんな講演録が

http://www.pfizer-zaidan.jp/fo/business/pdf/forum13/fo13_11_03.pdf
参照原価制度下のNHS原価計算の展開

少なくとも、日本では、DPCが導入されるまでは、原価積み上げ方式の価格体系にはなっていなかった。
研修医時代も副院長の部長が、「夜中に虫垂炎の手術すると光熱費・人件費で赤字になるんだぜ・・・」とこぼしていたのを思い出します。

 一般読者向けに、資料の引用を希望します。

 いわゆる…藪を突いて蛇を出す「藪蛇」。
 それもマングースやキングコブラ並みの猛毒蛇(統計データマイニング)を何匹もぞろぞろと。
 ハインリッヒの法則にしたがえば、1つの誤読の陰には29の小誤読猛毒蛇が、その背後には300もの猛毒蛇の卵が…藪の中に隠れている。

>モトケン先生

 元データは
「図表で見る世界の保健医療」
OECDインディケータ2005年版です。
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32080260
↑これの2005年版。
 2007年版は私もまだ買ってません。ネット上にあるデータは私も見つけられませんでした。

 データの丸写しですので私を信用していただければ・・・。

なお、どうしてもと言うことであれば本の写真を撮ってアップします。

医師にあるまじき事ながら引用方法に難がありました。

図表で見る世界の保健医療 OECDインディケータ2005年版
OECD編著/鐘ヶ江葉子訳、明石書店

p66-67(一人あたり保健医療支出)
p134(別添A 表A.2.10 一人あたり受診回数) 

OECD Health dataは売り物で、全部はなかなか見られませんが、この手の学者が持っていないのはモグリですね。

http://www.oecd.org/document/30/0,3343,en_2649_34631_12968734_1_1_1_1,00.html

しかし、いくら提示しても読解力がなあ・・・。

 読解力というよりは、統計処理の基本というかデータマイニングというか……。

OECD Health Data 2008のExcelファイルでよければこちらから無料でダウンロードできます。

http://www.oecd.org/document/16/0,3343,en_2649_34631_2085200_1_1_1_37407,00.html

>>25

 データありがとうございます。ただし、別添データに関してはこちらではアップされていないようです。(国民一人あたりの受診数)
 上で私が提示したデータとの整合性で私のデータの信頼性は上がりますね。

Excelのデータ見つけてくださってありがとうございます。
この表を見ていて、思ったのは、日本のデータの虫食い状態です。

誰だったか医療経済学者が、日本の医療問題をネタにしようと、これに当たって、日本の医療の統計の不備に唖然としたというコメントをされていました。

国際比較されたくないものは、出さないという確信犯のような気がしますな。

…一橋大学の井伊雅子先生ですね。

これです。

http://www5.cao.go.jp/statistics/meetings/kihon_6/siryou_1.pdf
(13ページ~18ページ)
> 医療介護統計の体系化 2007年12 月17 日
> 井伊雅子
> I. 医療費とは?
> 1. 国民医療費の推計(緑色の範囲)
> データソースやどのようなアルゴリズムで推計しているのか、詳細が公開されていない。
> 過去の実績からの伸び率として、推計されているようだが、初期値も公開されていない。
> 現在のクロスセクションのデータに基づいて、かかった医療費を積み上げるようにして出
> した数値ではない。
> 社会医療診療行為別調査を基にしていると言われている。
> 問題点 5 月のある一時点での調査
> ランダムサンプルでなくて、大病院に片寄り、診療所は少ない
> 政管健保と国保のレセプトのみ。健保に関しては適当なウエイトをかけて医療
> 費を推計しているようだが、そのウエイトの計測方法等は非公開


内閣府統計委員会
http://www5.cao.go.jp/statistics/index.html

<05/09/2008「医師一人あたりの医療費のGDP比が高いということ」>から……
>個々の勤務医についてサービス残業を行っているということは,その所属する医療機関に不当な所得を得せしめるものであるとしても
>医師の増加により勤務医のサービス残業がなくなったとしても,患者およびその所属保険組合が支払うべき賠償額に変動は生じないということになります。
>国民が医療にお金をかけないことが主たる要因ではなく,医療機関において,何らかの出費がOECD諸国の平均を大きく上回っていることが原因なのだろうと考えることが可能であり

 よく読めば推測や仮定や可能性だらけで、推測する根拠にも、仮定設定の合理性にも、可能性に言及する理由にも、科学性や客観性がないですよ。

コメントする

太字 イタリック アンダーライン ハイパーリンク 引用

このエントリのコメント